3D CADでのモデリングをマスターするなら?ソフトの種類など解説
CAD(キャド)は「Computer-Aided Design」の略で、日本語では「コンピューター支援設計」といいます。
簡単に言うと、コンピューターを使って設計図や模型を作る技術のことです。
たとえば、家やビルの設計図、車や機械の部品のデザインなど、さまざまなものをCADで描くことができます。
昔は、設計者が手で図面を描いていましたが、CADを使うとコンピューター上で図面を作成できるので、作業が速くなり、ミスが減るメリットがあります。
また、手描きだと修正が大変ですが、CADなら簡単に変更することが可能です。
設計が終わったら、3Dプリンタで実際の形を作ったり、シミュレーションで動作確認をしたりもできます。
今回は、
・3D CADの種類
・3D CADの種類別おすすめソフト
・3D CADに関連した資格や業務
について解説します。
これから3D CADを使ってモデリングを行っていきたい、と考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
3D CADとは
3Dは「3次元」の意味であり、3D データで設計物などを表現することを示します。
さらに、3DCADとは、紙で行っていた2次元図面(2D)をコンピュータ上で3次元に拡張したものです。
コンピュータ上の擬似3次元空間に立体を構築していくことで、製品や設計のイメージづくりがより具体的に行えるというメリットがあります。
従来までは、ソフト自体の価格やハードウェア的な制約などから3D CADの導入が難しかった現場でも、今日ではかなり導入のハードルが下がっていますし、さらには個人でも使用できるようなものも登場しています。
そのため、現在では製造や設計、デザインなどの現場で幅広く3DCADが利用されています。
3D CADのソフトの種類
ここでは、3D CADのソフトの種類について解説します。
具体的には以下の通りです。
3D CADのソフトの種類
・ハイエンド
・ミドルレンジ
・ローエンド
それぞれを詳しく見ていきましょう。
ハイエンド
3つの中で1番性能が良いものは、ハイエンド3D CADです。
1980年代に登場し、比較的歴史が長く、かつハイエンドな機能を備えています。
ライセンスの価格帯は、比較的高価になっており、航空宇宙や自動車業界で使用される3D CADで目立つタイプです。
ミドルレンジ
ミドルレンジ3D CADは、1990年代後半に登場した、Windows OSをベースに動作するPC 向けの3D CADソフトウェアを指します。
ライセンスの価格帯は、ハイエンド CAD に比べて機能を抑えて普及的な価格に抑えたものになっています。
業界や企業規模にかかわらず、幅広く使われているクラスです。
ローエンド
2010年代半ば以降に急増した、個人ユーザーでも手が届く数万円クラスの価格帯や無償の3D CADを指します。
初心者やCADの勉強に向いているのが特徴ですが、機能の制限があるため、高度な設計が実現できる幅は狭くなります。
機能面はミッドレンジクラスの3D CADに劣るため、企業内での設計でメインツールとするには厳しいクラスです。
このクラスには、クラウド対応のCADもあるため、社外の協力者などと協調して開発する際、あるいはリモートワークの際のサブツールとして使用するのが現実的でしょう。
3D CADでモデリングをするのにおすすめのソフト
3D CADでモデリングをするのにおすすめのソフトを種類別に紹介します。
ハイエンド3DCAD
ここでは、ハイエンド3D CADのソフトを紹介します。
◆CATIA V5(ダッソー・システムズ社)
拡張性に優れたハイエンド3DCADソフトです。
製品作成から終了までのライフサイクルを一元管理できる、PLM製品の中心に該当しています。
自動車・航空をはじめとし、産業機械を扱う業界など幅広く使用されています。
また、操作性が良く、設計者がITに詳しくなくても使いやすいでしょう。
◆Creo Parametric(パラメトリック・テクノロジー社)
Creo Parametricは、主に製造業向けの3D CAD(コンピュータ支援設計)ソフトウェアです。
Creo Parametricは多くの企業に採用されており、業界標準ともなっているため、他の企業やクライアントとの連携をスムーズにすることができます。
これにより、ビジネスチャンスの拡大や取引先との協業が円滑に進められるでしょう。
◆NX(シーメンス株式会社)
NXは、CADモデルの準備やCAMプログラミングから、CNC機械加工や3Dプリンティングまで、部品製造プロセスのデジタル化に必要な機能をすべて備えています。
さらに、NXは多くの業界で使用されており、企業の競争力を高めるためのツールとして評価されています。
ミドルレンジ3DCAD
ここでは、機能性と価格帯のバランスがよいミドルレンジ3D CADソフトを紹介します。
◆SolidWorks(ダッソー・システムズ社)
SOLIDWORKS 3D CADは、複雑な設計モデリング、部品、アセンブリから、シミュレーション、レンダリング、製造に直結する高速で関連のあるスムーズな図面と更新など、アイデア出しから製造までを迅速かつ簡単に行うための業界標準でプロ仕様のソリューションです。
◆Inventor(オートデスク株式会社)
Autodesk Inventor は、設計・製造準備用の専門ツールや自動化機能を備えた、機械設計者および機械エンジニア向けのソフトウェアです。
エンジニアは、Inventor ソフトウェアを使用して最終製品を仮想的に作成し、製造前にフォーム、フィット、機能を検証することができます。
これには、強力なモデリング ツール、マルチ CAD 変換機能、ネイティブの DWG 図面が含まれており、開発コストの削減、優れた製品の開発、製品の市場投入までの期間の短縮を支援します。
◆ICAD/SX(iCAD株式会社)
設計する対象物を「機械装置」「生産設備」「工作機械」などの部品点数が多い、少数生産(あるいは一品生産)品に絞った開発がされています。
そのためCSGと呼ばれるデータ構造を内部にもち、部品点数が多い製品の設計やコンピュータ上での組み立てに対しても高速処理ができることが特徴です。
◆Solid Edge(シーメンスPLMソフトウェア)
Solid Edge(ソリッドエッジ)は、シーメンスPLMソフトウェアが提供するCAD(コンピュータ支援設計)ソフトウェアの一つです。
製品設計、エンジニアリング、製造業で広く利用されており、特に3Dモデリングと2D設計に優れた機能を持っています。
このソフトウェアは、設計プロセスを効率化し、製品の開発速度や品質を向上させるためのツールとして活用されています。
ローエンドのソフト
ここでは、価格帯の低さが魅力のローエンド3D CADソフトを紹介します。
◆Fusion 360(オートデスク株式会社)
オートデスク株式会社が提供する「Fusion 360」は、CADをはじめとした開発ソフトを統合しています。
そのため、CADによる設計およびデータ管理が、ひとつのソフトで実現します。
一元管理により、データの移行などでネックになっていた手間を削減することも可能です。
パッケージソフトとSaaSの形態が用意されており、クラウドを活用することで動作の軽減が期待できるでしょう。
月額7,700円から利用可能です。
◆BricsCAD(Bricsys)
柔軟性のあるCADで、AutoCAD2021と互換性があります。
具体例として、AutoCADで作図した場合、拡張子として策定される「dwg」のファイル形式をベースに構築されています。
慣れ親しんだCADの操作方法を受け継いで利用できて、覚える手間が省けるでしょう。
1年あたり72,000円から利用可能です。
30日間の無料トライアルがあるので、ソフト選びに悩んでいる方には嬉しいですね。
ここで紹介したソフト以外にも、3D CADでモデリングをするのに使えるソフトウェアはたくさんあります。
ぜひ一度探してみてはいかがでしょうか。
3D CADに関連した資格や業務
CADを学ぶ目的の一つに資格の取得があると思います。
では3DCADに限らず、CADに関係する資格にはどのようなものがあるのでしょうか。
代表的なものは以下の通りです。
CADに関係する資格
・2次元CAD利用技術者試験
・3次元CAD利用技術者試験
自分の目的にあった資格を取得することが、業界での就職や転職の際に有効なアピール材料となるでしょう。
まとめ
今回は、3D CADを使ってモデリングを行っていきたい、と考えている方向けに
・3D CADの種類
・3D CADの種類別おすすめソフト
・3D CADに関連した資格や業務
について解説しました。
かつて研究機関や大手企業の高級システムであった3D CADは、PCで誰もがアクセスしやすくなりました。
3D CADを導入し、3Dモデルの流通を社内に増やすことで、将来の様々な可能性を広げていくことが期待できます。
まだ3D CADを導入していない企業は、DX(デジタルトランスフォーメーション)が加速している今こそ、その検討をしてみてはいかがでしょうか。
本記事が3D CADを使ってモデリングを行っていきたい、と考えている方の参考になれば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。